面白い作品を世に出すショートスリーパー
ネットで比較的頻繁に取りざたされるショートスリーパーの有名人のなかから、漫画家、小説家であるこのふたりだけをピックアップアップして人物像を探ってみたが、とにかくおもしろい作品を作る人は人としておもしろい。
有名だけど知らなかった、という方はぜひ作品を手に取ってみてほしい。
睡眠時間3時間 漫画家 尾田栄一郎
海賊が異世界を飛び回る、あのワンピースでおなじみの漫画家の尾田栄一郎には、休みがほぼない。
グランドライン突入という、いわば物語の区切りとなるところで一度ハワイに行き、扁桃腺除去手術で休んだときの、たったの二度に渡る長期休暇。
ふだんは週のうち3日はネーム、3日は作画、残りの1日は単行本などの時間にする。
打ち合わせには電話で12時間を使うという。
睡眠時間はおおむね3時間から4時間、家族に会えるのは週に1回とのこと。
作画のほとんどをアシスタントに任せない、読者からの便りも徹底的に読んでコミックにてその回答までも載せる。
あれだけ稼いだらもう仕事をする必要がない、との意見もネットでは数多く見られる。
だが漫画界やアニメ界を今現在リードする側の人間として見てみれば、連載終了まで健康で描き続けてほしいものだ。
寝ると具合が悪くなる 小説家 京極夏彦
百鬼夜行シリーズを代表作とする、異端な小説家の京極夏彦は、寝ない。
眠くなったら寝る、用事が済んだら寝る。
でも4時間以上眠ると調子が悪くなるのだ。
よくある修羅場の作家のように、しめきりがどうとかそういったものは何もない。
寝ないから、何?と言うのだ。
京極夏彦にとっての睡眠は、寝なきゃいけないなどという強迫観念はないし、また逆に眠らないでいるという意思もない。
ただひたすらに仕事をし続けて、終わったら寝る。
幼い頃からショートスリーパーの傾向があったようで、睡眠不足だとかつらいだとか思ったことは一度もないのだそうだ。
暑い寒いという感覚もないようだ。
そもそもデザイナーだった彼は、本の文字の数までもを調整する作家だ。
ページ内に段落を全ておさめてしまう技術を、ハードカバーから文庫として出版される作品までも駆使してしまう。
目に見えないところの労働が多いと言い切ってよい。
旅に出たら、それは遊びだからと、4時間睡眠を計算して眠る。
根っからの自由人であり、軸はあるものの話がよく脱線するが根源は同じ、何だか分からないけどおもしろい。
読後にそういう感覚を持てる小説家は他に類を見ない。
総じて思うのは、ショートスリーパーには天才や努力家が多い。
もちろんロングスリーパーにも天才はいるが、ほんの一部なのである。
結局のところ自分に合った睡眠時間をとって楽しんで仕事をする人は、とにかく魅力的だということだ。